畑での作業
見て、支えて、保つ
ヴィニュロン、馬つかい、トラクター作業員… シャトー・ラトゥールの畑では通年、80万本あまりのブドウ樹を入念に手入れしています。グラン・ヴァンの誕生を待ち望み、ブドウ樹の生育段階ごと適切なノウハウを動員し、実に緻密な作業が繰り返されています。
剪定、誘引、耕耘、摘芯、そして夏季摘房… 良好な植物生育を促進し、最高レベルの果実のみに厳選するために欠かすことのできない大切な作業です。
枯れてしまった、あるいは予期せず傷んでしまった樹を引き抜いて、代わりに若株を植えこむ作業も、この美しい文化的景観の維持には欠かせません。これは「コンプランタシオン(樹齢混植)」と呼ばれ、毎年全体の約3%に値する畑で進められています。部分的に植替えを行なうことで、質・量ともに区画のポテンシャル維持に効果があります。これらの区画では、古株のポテンシャルはそのままに、若株にはきちんとマーキングをして、別々に収穫を行なっています。また、区画の平均樹齢が高すぎる場合や、樹齢にあまりにも開きが見られるようになった場合には、区画全体を引き抜いて新たに植樹を行なうこともあります。引き抜いた後は、土壌の再生と浄化のため、一定期間、土を休ませなければいけません。
シャトー・ラトゥールでは、さらに総合的な観点から現行農法を改めて見直し、2009年以降、ブドウ畑の栽培方法および保護対策の改善に根本から取り組んでいます。テロワールの魅力がさらに生かされたワインづくりを目指して、ブドウ樹と土壌と自然環境、これらのバランスの維持・尊重、そして深い理解に努める方針をシャトーでの畑作業に改めて取り込みました。畑における人的介入は、ブドウ畑の生物多様性を保全し、ブドウ樹の自然治癒力を高めるためのものでなくてはいけません。例えば耕耘を例にとると、2008年には輓馬を再導入しています。これは人と動物を改めて畑の主役の座に座らせることで、土の固結化を防ぐと同時に、ブドウ畑のあらゆる変化にさらに敏感でいられる環境づくりに役立っています。
新たな方針と農法に共鳴し意欲に駆られたシャトーチームは、早速エコセール(ECOCERT)による有機農業認証の取得に向けた準備に取り掛かりました。こうして2015年8月には、シャトー・ラトゥールの畑全体が有機農業での栽培に転換されています。同認証はもちろん蔵での作業およびワインの醸造工程にも適用され、2018年8月には正式に認証取得予定です。
また、ランクロ内の多くの区画ではビオディナミ農法を導入しています。これは、畑ごとの状態およびその年の天候条件を考慮して、月の周期を参考にしながら、畑が必要としている各種プレパラシオン(調合剤)を用いて栽培を進める農法を指します。
シャトー・ラトゥールのスタッフは、常日頃から、ブドウ畑の品質恒常性の確保、そしてワインとそのアロマの品質のさらなる向上という、ふたつの壮大な使命感を持って作業に取り組んでいます。これらの農法に関する知識を深めるにつれ、その結果、以上の選択と生産目標を確立するに至りました。