優れた立地

ボルドー市の北西約50キロメートル、銘醸地としてのボルドーの名声が築かれた場所、メドック。その中心にシャトー・ラトゥールは位置しています。テロワールの核となる畑「ランクロ(l'Enclos)」は、ジロンド河口を見下ろす位置に広がります。この河、そして海は、何世紀もの歳月を費やしてランクロの実に複雑な地質を生み出し、そして今日まで日々穏やかな天候をもたらしています。

河口から300メートル、この優れた立地条件は他に類を見ない個性的なテロワールをもたらし、1991年に経験したような寒波や凍霜害をはじめとする天候変化による被害から畑を守っています。
ドメーヌには以下ふたつの条件が整っています。
• 大西洋に近接していることにより、海洋性気候特有の寛容な気候条件のもとに置かれています。
• 水量豊かなジロンド河口がすぐ隣りを流れることで、植物生育スタート時に起こりがちな急激な気温低下の危険から守られ、また、収穫直前にはブドウ果実の熟度の進みが促進されるという絶好の効果が得られます。

四季

メドック地方の天候は気まぐれであると言われがちですが、まさにこの天候あってこそ、それぞれ実に個性あふれるヴィンテージが誕生します。通常、季節は以下の順序で移り変わります。

温暖で多湿な天候が続きます。ときおり寒波が訪れます。

通常、春は二部構成です。前半は冷涼多湿、後半に入ると気温が高まり雨が多くなります。

夏は暑く、7月中旬まで多湿であることが多いです。その後は乾燥した天候が続きます。8月は昼夜の気温差が顕著で、結果、みずみずしいアロマはそのままに、熟度の進みが促進されます。

初秋には好天が続き、かつ冷涼な気温に恵まれます。

特別なテロワール

シャトー・ラトゥールが所有するブドウ畑、その多くはジロンド河口を見下ろす海抜12〜16メートルの砂礫質の丘の上に広がっています。「ジロンド河口と礫質表土、そして粘土層の下層部」... 抜群のコンビネーションです。見事なまでの地質構成を有し、シャトー・ラトゥールのテロワールには他に類を見ない特異性が備わっています。これら稀有な条件が奇跡的にととのった文化的景観を前にして、我々は日々、そこに秘められた魔力を引き出し、その複雑性を最大限に生かしたいと意欲を掻き立てられています。

ランクロのテロワールは土壌学上3つの要素で構成されています。

• ランクロの中央部には、粘土質砂礫土壌
• ランクロの周辺部には、礫質砂土壌

これらの地質学的特徴は、ブドウ樹の根、特に古株の根がかなり深く(3メートルの深さまで)地下方向へのびていることを示唆しています。泥灰土・粘土を含む下層部が水分を捕獲し、最小限の栄養分を植物にもたらします。2003年や2010年のように極度の乾燥と深刻な水分欠乏に悩まされた年でも、畑は生き生きとした状態に保たれ、最適な熟度の果実へとゆっくり育てることができるのです。

また、ランクロの畑には19世紀以来、完全排水システムが整備されており、収穫直前の果実の品質に悪影響を及ぼす危険のある余分な水分は排除されます。

ランクロ以外の畑(約40ヘクタール)は飛び地となっており、土壌も多様性に富んでいます。土壌タイプで言えばランクロのテロワールに類似した区画もありますが、その組成は異なります。

80万本ものブドウ樹が植えられた庭園…

... 1本1本のブドウ樹は、それぞれの物語を秘めています。
美しいモザイク模様を描いて広がるシャトー・ラトゥールのブドウ畑。中には100年の樹齢を有する樹もあり、年ごと生まれるワインにそれぞれが独自の魔法をかけてくれるかのようです。また、畑全体は常に進化の過程に置かれており、つまり、古株のあとを継ぐ若株の育成には、並々ならぬ忍耐と精巧さ、そして入念な手入れが要求されます。
現在、ラトゥールの畑面積は92ヘクタール。うち47ヘクタールは、シャトー本館を囲む「ランクロ」と呼ばれる区画で、グラン・ヴァンの生産に使用されています。ランクロはジロンド河口を見下ろす海抜16メートルの丘の上に広がり、北と南にはそれぞれ小川が流れ、東はジロンド河口の岸「パリュ(粘土質沖積土土壌)」が境界をなしています。ランクロ以外にも40ヘクタールあまりの畑を有し、段階的に購入をすすめた複数の優良区画(「プティ・バタイエ」、「ピナーダ」など)を含んでいます。これらの区画から収穫される果実はレ・フォール・ド・ラトゥールのブレンドに、さらに樹齢の若いブドウ樹はポイヤック・ド・シャトー・ラトゥールの生産に使用されます。

ブドウ品種

シャトー・ラトゥールの栽培比率は、カベルネ・ソーヴィニヨンが76%、メルロ22%、プティ・ヴェルドおよびカベルネ・フランが2%です。

カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨンは、最もラトゥールのテロワールとの相性が良いブドウ品種です。砂礫土壌はそもそも痩せた土壌であり、ブドウ樹は、生育に必要な栄養分および水分を下層に埋まっている粘土質土壌から吸収しようと、地下深くに根を張ります。厳しい環境のもとで栄養を補給し育ったブドウからは、凝縮性と色素、そしてしっかりとタンニンを感じさせる骨格のあるワインが生まれます。

メルロは

メルロは、カベルネ・ソーヴィニヨンとは対照的に、調整力に優れ、和らぎをもたらしてくれるブドウ品種です。主にランクロの丘の低地部で栽培されています。低地部は地温が低く、早熟品種の栽培に適しています。また、砂礫層の深度が比較的浅いこともあり、下層の粘土質・石灰質の層から、高い粘性と丸み、そして力強さを吸い上げることが出来るのです。

その他2品種、プティ・ヴェルドおよびカベルネ・フランに関しては

その他2品種、プティ・ヴェルドおよびカベルネ・フランに関しては、極少量、最終ブレンドに使用されています。ブレンドにはプティ・ヴェルドが優先され、カベルネ・フランは徐々に使用されない傾向にあります。プティ・ヴェルドの特徴は、そのエギゾチックなアロマとタンニン・ストラクチュア、そしてみずみずしさです。控えめながらもシャトー・ラトゥールのワインには欠かせない大切なニュアンスです。



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